picoPower技術

 

複数のクロックドメイン

picopower_clocks.jpg マイクロコントローラーが異なる速度で動作することはよく知られています。周波数を下げれば消費電力が少なくなることも同じように知られています。システムの電力をできる限り抑えた製品を設計する場合、マイクロコントローラーの全ての回路を同じクロック周波数で動作させては意味がありません。

Atmel® AVR® および Atmel® ǀ SMART ARM® ベースのマイクロコントローラーは、コア、内部バス、および個々の周辺回路など、マイクロコントローラーの異なる部分を、電力を節約するために個別にクロック調整できるようにするため、複数のクロックドメインを採用しています。周辺回路の最大スループットをアプリケーションで必要としない場合は、クロックを下げることができます。それぞれのクロックは異なる周辺回路に適用できるため、消費電力を考慮して十分に最適化できます。電子機器に必要なスループットや機能は、消費電力を低減しても、変わることなく実現できます。

クロックを個別に調整できることは、それは重要ポイントの一つです。しかし AVR および SMART アーキテクチャでは、使用されていない周辺回路は個別に完全にシャットダウンして実行時にもう一度有効にすることができるため、システムの動作を妨げることなく電力消費をさらに低く抑えます。複数のクロックドメインにより、アプリケーションの性能と消費電力を同時に最適化できます。Atmel AVR® および Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーならではの結果です。

 

DMAコントローラとイベントシステム

周辺回路やメモリとのデータのやりとりが、かつてのCPUのタスクでした。AからBに移動するデータが多ければ多いほど、移動するためにかかるCPUサイクルがより多く必要になります。しかし、別の方法があるのです。Atmel picoPower® 技術により、ダイレクトメモリアクセス (DMA) コントローラーは、CPU をスリープさせて電力を維持することにより、エネルギー効率をより良くしてこのタスクを実行できます。

DMA コントローラーにより、Atmel AVR または Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーのデータは、CPU の介入をまったく必要とせず、A から B に移動できます。データを移動させている間にCPUはスリープモードになるので、消費電力を抑えるか、計算などの他のタスクに使用できます。この結果、システム性能が向上し、マイクロコントローラーをスリープモードにできますので、消費電力をもっと、しかも頻繁に抑えることができます。

Atmel AVR® または Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーのイベントシステムにより、周辺回路はインテリジェントな決断を下してデータを他の周辺回路に直接渡すことができます。専用の配線ネットワークを使ってデータを転送できますが、これはCPUからは完全に独立しています。このネットワークはCPUの負荷を軽減し、スリープモードでの使用が可能です。システム性能を上げながら、消費電力を削減できます。さらに、100パーセント決定性なので、リアルタイムのアプリケーションに完全に適しています。

DMA コントローラーは、ハードウェア CRC エンジンを使用してチェックサムを自動計算して完全性チェックを提供し、ウェイクアップ時のさらなる CPU 電力消費を抑えることによって、さらにシステム電力の消費を抑えられます。DMA コントローラーとイベントシステムにより、データの移動にかかる時間が短くなり、スリープモード状態の時間が長くなり、Atmel | SMART AVR マイクロコントローラーの低電力機能がより頻繁に使用されるようになります。

 

低消費電力のための設計

picoPower_chip.jpg Atmel picoPower デバイスの本質は、単にさまざまな picoPower 機能が含まれるというだけではありません。設計メソッド、プロセス配置、および使用されるトランジスタのタイプまでもがすべて、Atmel picoPower デバイスの重要な節電を担っているのです。picoPower デバイスはすべて、低電力消費を実現するためにゼロから設計されており、Atmel 独自の低リークプロセスおよびライブラリを利用して、アクティブモードおよびすべてのスリープモードで、業界先進の低電力消費を提供します。

ソフトウェア開発者にとってさらに使いやすくするため、Atmel はさまざまな低電力マイクロコントローラーで利用できるいくつかの新しい低電力機能を導入しました。

  • オンザフライでのユーザー選択可能なパフォーマンスレベル
  • 複数の動作モードによる自動電圧レギュレーター切り替え
  • 自動パワードメインゲーティングを備えた複数のパワードメイン
  • オプションで無効にできる自動低電力 SRAM 切り替え
  • 低電力バッテリーバックアップモード

開発者がパフォーマンスと電力消費のバランスを調整できるようにするため、低電力デバイスはオンザフライでのユーザーによる選択が可能なパフォーマンスレベルを提供します。これらのパフォーマンスレベルにより、指定の動作周波数をサポートする最も低いコア電圧レベルにユーザーが調整できます。

Atmel の低電力デバイスには、ユーザーが手動で調整できる、あるいはパフォーマンスレベル、選択されたスリープモード、または SleepWalking™ のステータスに応じて携帯デバイスによって自動調整できるさまざまな動作モードを備えた内部電圧レギュレーターが使用されています。以下の図は、自動電圧レギュレーターの、さまざまなスリープモード間での切り替えを示しています。


さまざまな周辺回路やシステム機能に対する電力の自動制御およびユーザー制御を可能にするために、複数のパワードメインが提供されています。自動パワードメインゲーティングは、必要な電力ドメインをアクティブに保ったまま、さまざまな電力ドメイン電圧をオンまたはオフにして電力を節約します。自動パワードメインゲーティングによってパワードメインが無効になっているときは、すべての周辺回路の論理状態が維持され、プロセスはアプリケーションまたはユーザーに対して完全に透過になりますが、静的電力消費を最小限に抑えます。

picoPower デバイスは、スリープ中の低電力モードへの自動切り替え、および深いスリープモードにおける SRAM 各部分の選択的無効化を含む、さまざまな低電力 SRAM オプションを提供します。

picoPower デバイスには、バッテリーバックアップスリープモードを備えるタイプもあります。このモードでは、すべての周辺回路、メモリ、クロック、およびオシレーターの電源がオフになり、バックアップドメインのみがアクティブ状態を維持します。バックアップドメインは、RTC、32KHz クロックソース、および外部ピンからのウェイクアップで構成されています。

 

1.62Vで確実に動作

picoPower_1_6.jpg どのような設計でも消費電力を下げる簡単な方法は、動作電圧を下げることです。しかし、アナログの性能が犠牲になってしまったらほとんど意味がありません。picoPower 技術の中心となっているのが、1.62V まで電圧を下げても動作し続ける、慎重に設計されたアナログ機能です。

従来、マイクロコントローラーのさまざまな機能は電圧レベルが異なると不安定になり、使用不可となる場合もあります。アナログ周辺機器の不正確さ、制限のある動作、または不揮発性メモリへの書き込み不能などの原因により、低い電圧では動作できない設計になっていたのです。これによりバッテリーの寿命が短くなり、もっと大きくもっと高価なバッテリーが必要になったりしたのです。また、そもそもマイクロコントローラーによって処理されるべきである問題を迂回するための次善の策を探そうとして多くの時間が費やされてしまいました。

Atmel picoPower マイクロコントローラーは、すべてのアナログモジュール、オシレーター、フラッシュ、および EEPROM プログラミングを含む、真の 1.62 V 動作を提供します。つまり、実際にはどういう利点があるのでしょうか?さまざまなマイクロコントローラー機能が、電圧が下がってもひとつひとつ機能しなくなるということがないのです。同じ電子機器を異なる電圧で何も犠牲にせずに実行することができます。すべての周辺回路が、供給電圧にかかわらず使用可能です。たとえば、ADCは、遮断電圧が近づいてきた時に供給電圧を計測するために使いますが、遮断電圧を検出すると、その機器は重要な情報を格納して安全にシャットダウンできるようにします。バッテリーを交換したあと、グリッチを発生させることなく再起動できます。

電力消費は供給電力に比例するため、できる限り低い供給電圧で動作すれば電力を節約できます。バッテリーで動作するデバイスの場合、Atmel マイクロコントローラーは、バッテリー残量に合わせて、より低いバッテリー電圧レベルで残りの電力を最大限に利用することができます。

 

SleepWalking

picoPower_magnified.jpg picoPower 技術の一部として、Atmel は周辺回路にインテリジェンスを追加しました。これにより、入力データがCPUの使用を必要とするかどうかを周辺回路に判断させます。私たちはこれを SleepWalking™ と呼んでいます。なぜなら、重要なイベントが発生するまでは CPU が穏やかなスリープ状態を保てるようにし、何百万回もの不要な CPU ウェイクアップをなくすためです。

デバイスの外の世界を監視するためには、内部タイマーがマイクロコントローラーを定期的に起こして、注意を必要とする特定の条件があるかどうかをチェックするのが従来の方法でした。これまでのCPUとRAMは、アクティブモードでかなりの電力を消費するため、これらの条件をチェックするためにCPUを起動させると、全体を通して多くの電力を消費することになります。応答時間が短すぎる場合には、CPUがスリープモードに戻ることさえできなくなります。

Atmel AVR® および Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーは SleepWalking 周辺回路を通してこの問題を解決します。SleepWalkingは、マイクロコントローラーを深い眠りにつかせ、事前に認められたイベントが発生したときにのみ起動します。CPUは特定の条件があるかどうかをチェックする必要はもはやありません。あるアドレスがTWI(I2C)インターフェイスでの条件と一致するとか、またある特定の閾値を超えたADCにあるセンサーが接続されているとか、等の条件です。SleepWalkingがあれば、周辺回路がこれをすべて行います。CPU と RAM は、条件が true になるまで起きません。

これにより、多くのアプリケーションにおいてシステム電力消費を大幅に抑えることができます。SleepWalking により、ハードウェア周辺タッチコントローラーはタッチまたは近距離感知でシステムを起こすことができるため、バッテリー駆動アプリケーションで静電容量式タッチ電力ボタンの使用が可能になります。SleepWalking は CPU がアイドル状態でも統合オペアンプまたは ADC によるアナログ信号取得と計測をサポートし、アナログおよびデジタルセンサーアプリケーションでバッテリー寿命を大幅に延長します。シリアル通信および DMA 転送は、SleepWalking を使用して、超低電力モードからの通信とデータフローを可能にします。多くの picoPower デバイスで利用可能なユーザー構成可能な連結および順序論理ブロックを SleepWalking と組み合わせることもでき、信号を結合および除外して、不要な CPU ウェイクアップをさらに防ぐことができます。ウェアラブル医療センサー、ポータブルガス検出器、ワイヤレス通信モジュールなど、あらゆる電力重視アプリケーションは、Atmel SleepWalking 技術を使用することによってシステム電力消費を抑えます。

動的な Sleepwalking は、CPU を起こすことなくパワードメイン遷移を可能にして、さらに電力消費を最適化します。これにより、MCU は可能な限りの低い電力モードでスタンバイし、追加のシステムまたは周辺リソースを使用する必要がある場合は高いパワードメインに自発的に遷移し、イベントが処理されたら低い電力モードに戻ることができます。

SleepWalking は、アプリケーションにおいて全体のシステム電力消費を抑えるための、Atmel AVR および Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーに含まれる数多くの画期的な技術のひとつにすぎません。

 

より速い起動

スリープモードに入ると、消費電力を抑えるためマイクロコントローラーのパーツがシャットダウンされます。オシレーターとクロックは使用時に大量の電力を消費します。スリープモードから起動したたら、これらのクロックは使用されるまでに安定状態になる必要があります。クロックが使用可能になって安定するまで長い時間待機すると、無駄な電力を消費することになります。

Atmel AVR および Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーは、内部 RC オシレーターから実行されると、最低 8 クロックサイクルで、究極的に速くウェイクアップするように設計されました。さらに、デジタル周波数ロックループ(DFLL)が従来のフェーズロックループ(PLL)の代わりに導入され、より高速でより正確なプログラマブル内部オシレーターが提供されています。これにより外部コンポーネントも必要なくなり、全体のシステム消費電力がさらに削減されます。同期クロックをオフにした状態のスリープモードの場合でもマイクロコントローラーは非同期イベントにより起動できます。ピン変更やデータ受信、さらにはI2Cバスアドレス一致などのイベントです。最も深いスリープモードでも複数のウェイクアップソースを使うことができます。Atmel AVR および Atmel ǀ SMART マイクロコントローラーはウェイクアップの時間が短いため、消費される全体の電力は、考えられる最も有効な目的に使用されます。

 

Atmel 製品

Atmel® ǀ SMART ARM® ベースの MCU

  • SAM L21 – ARM Cortex®-M0+ ベースの MCU は、AES、静電容量式タッチセンサー、およびフルスピード USB デバイスおよびホストなどと共に、アクティブモードで 35 µA/MHz までの低電力消費を提供します。
  • SAM L22 – セグメント LCD (SLCD) コントローラを備えた ARM Cortex®-M0+ ベースの MCU は、AES、静電容量式タッチセンサー、改ざん検出、およびフルスピード USB などと共に、アクティブモードで 39 µA/MHz までの低電力消費を提供します。
  • SAM4L – ARM Cortex-M4 ベースの MCU は、信号処理および高速通信周辺機器に電力を提供しながら、アクティブモードで最低 90µA/MHz を提供します。

Atmel AVR® MCU

  • XMEGA – すべての Atmel XMEGA MCU は picoPower 技術を備えており、高いパフォーマンス、セキュリティ、低電力消費を 8 ビットパッケージで提供します。
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  • megaAVR – 電力消費を抑える画期的な picoPower を備え、メモリサイズ、ピン数、およびペリフェラルのオプションにおいて選択の幅が広いデバイス。
    • ATmega168PB 8 ビット AVR マイクロコントローラー、16KB フラッシュ、32 ピン
    • ATmega48P 8 ビット picoPower AVR マイクロコントローラー、4KB フラッシュ、28/32 ピン
    • ATmega48PA 8 ビット picoPower AVR マイクロコントローラー、8KB フラッシュ、28/32 ピン
    • デバイス名の最後に "P" が付くすべての megaAVR デバイスは picoPower 技術を採用しています
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  • tinyAVR – 小型化、処理電力、アナログパフォーマンス、およびシステムレベル統合の優れた組み合わせを、高度に最適化した電力効率とともに提供します。
    • ATtiny441 8 ビット picoPower AVR マイクロコントローラー、4KB フラッシュ、14/20 ピン
    • ATtiny841 8 ビット picoPower AVR マイクロコントローラー、8KB フラッシュ、14/20 ピン
    • ATtiny1634 8 ビット picoPower AVR マイクロコントローラー、16KB フラッシュ、20 ピン
    • picoPower を採用した tinyAVR デバイスは他にもたくさんあります
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